【レポ】超歌舞伎オフ会・一次会まとめ 

今年も興味深い歌舞伎演目との関連性からオフレコ話まで面白い話ばかりの3時間だった。
残念ながら一次会で帰宅しなくてはならなかったので、この一次会で出た話のうち、オフレコ部分を除いたものをまとめていきます。


・重音テトについて
テト好きによる重音テト講座。エイプリルフールの「騙してやろうぜ」から始まったキャラが超歌舞伎で役を得るところまで上り詰めたことに大変感慨深いものがある。
「三代目」は以前の記事に書いた通り「採用されたキャライラストの三代目」であることからだが、それを某社に解説したところ「それは面白い話だから名乗らせよう」ということで、超歌舞伎で初めて「三代目重音テト」と名乗ることになった。これがテトファンには「わかってる!」と大変好評だった。

・ARについて
ニコニコ生放送の映像にリアルタイムでミクさんやテト、天井などが合成されている。
よくあるARは「ARマーカー」という画像を用意し、そのマーカー上に合成したい物体を重ねて映す形だが、超歌舞伎ではカメラ側にセンサーがついていて、今カメラがどこを映しているかを認識している。ここから「このカメラが映しているであろうミクさんやテト、天井」などをコンピューターで計算、放送する映像に重ねて表示している。

・取り憑かれる前の新右衛門は悪い奴?
青くなってないので悪い奴ということではないが、呼ばれて来てる以上あまりいいとは言えない。

・白塗りキャラはイケメンの証
廓に人連れてくる無粋をやらかすわ見受け認めてもらえないわ、あげく青龍に取りつかれて倒されるという、さんざんな目に遭う新右衛門だが、白塗りで出てきているのでイケメンという扱いになっている。つまり「金もあるし顔もいいけど性格悪い奴」。

・寄り目について
誰かの得意技とコメントで流れていたが、紀伊国屋さんの得意技というわけではない。
<訂正>
「成田屋」のみができると言われる特殊な目の使いかたで、見得をする時に「片目だけ寄り目で片目はまっすぐ」という使い方をする。錦絵もそれに従った表現がされている。この寄り目は「『成田屋』の睨み」と言われ、見られると役の善悪に関わらず、1年間無病息災になる、と言われている。
現在は「十一代目 市川海老蔵」のみが演じることを許されている。

・ミクさんの表情が違う
町娘の時はよく表情が変わるが、初音太夫になった後は役者らしく作ったような表情になっている。この差が意図的にされたものかどうかは不明。

・初音太夫のモチーフが「蝶」である理由について
着物の蝶は「若い女の子」の意味を持っている。従って今回の初音太夫の蝶の衣装にも何かの意味があったのか。オフ会内でもいくつか由来となったものが考えられる。
- 遊女風衣装の「初音ミク 蝶」から取られた?
- 獅童さんの紋が蝶だから?
- 着物の意味の通り若い年頃の女の子だから?
- 「超」歌舞伎だから?
- 花魁の演目で蝶モチーフの衣装は一般的だから?
- 「町娘からの脱皮」で蝶へ羽化する演出にしたから?
- 前回の「超歌舞伎」で蝶になったから?(蝶は「義経千本桜」よりのモチーフ)

・花魁道中について
花魁道中は普通はもっとたくさん人がいる。葛城太夫にしても初音太夫にしても省エネ構成。予算の問題?時間の問題?
花魁の衣装は重く高下駄が移動しづらいため「肩貸し」の人に手をついて歩くのが普通だが、それなしに歩いてるミクさんすごい。まぁミクさんはその辺特殊なので…。

・シルエット重音テトの持ってた弦楽器
ミクさんの部屋に行く前の映像でシルエットのテトが持っていたのは三味線ではなく、「吉原ラメント」作曲者のベース。

・お店の前の一幕は「御所五郎蔵」の演目がモチーフ
客席の花道と仮花道から演者が出てくる。元ネタでは同じだけの人数が出てきてそれぞれ名乗りを上げるが、今回は紋三1人に対し新右衛門5人。
椅子に座って話をし、決闘を止める人が出てきて、扇で「カカッ」とやるのも元ネタにある。
なお6月にその元ネタ「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」が夜の部二幕目に上演される。江戸末期のガチ演目っぽい。こういうところに誘導されてるところが松竹マジックなのか獅童さんマジックなのか。

・「晦日に月の出る廓(さと)の 月を隠すは蔭山新右衛門」
この名乗りも「御所五郎蔵」でのセリフ「晦日に月の出る廓(さと)も 闇があるから覚えていろ」をモチーフにしているらしい。
旧暦の場合晦日は新月になるので月が出ない。その時に月のように明るいもの、というのは遊郭およびその中の遊女、ということになる。
元ネタでは「明るい遊郭も暗いところがあるから、闇討ちに気をつけるこった」という物騒なセリフだが、新右衛門は「晦日に輝く遊郭を輝かせる月たる初音太夫をものにするのはこの俺だ!」と言っている、ということになる。「遊郭から漏れ出る音につられてうかうか来ちゃったぜ」とめちゃくちゃカッコ悪い名乗りだなと思ってたのだが、結構ちゃんとカッコつけてた。

・紋三の背負った尺八
色男、それもどっちかというとアウトローな奴のトレードマーク。

・紋三の「あっちが勝手に惚れただけ」というセリフの真の意味
ミクさんに何てこと言いやがるんだこいつは!というセリフだが、江戸の感性で言えば、「水道という最新設備で産湯使ったとか、最古の歌に詠まれる苗字名乗ってるとか、二枚目役者のはしくれだけど腕はあるぜとかさんざん偉そうなこと言っておきながら、相思相愛の花魁を見受けすらできない甲斐性なし」で、ものすごくかっこ悪いことを正直に吐露している場面だった。
今で言うとあの場面は「性格いい年収200万の俳優」VS「性格悪い年収1000万の官僚」。

・テトの衣装のひまわりとあじさい
どちらも「吉原ラメント」の歌から取られている。

・「おおきにやかましゅうございました」
関西弁ではなく「大変うるさかったっすねーごめんなさいねー」という感じ。ケンカ収めに来たのかと思ったらたきつけて帰っていくあたりとっても2ch的で、その印象もあってさらに煽ってる感じ。

・恋文の印
電話屋経由で届けられたメール。新右衛門のが真っ白なのは「普通の手紙」。一方で紋三宛ては赤い色がついている。これは「天紅」という恋文の証拠。

・禿役の子役は男女、歌舞伎の家は関係ない
子役は女の子でも参加可能、歌舞伎の家である必要もないため、演者なじみの子役さんがやってくることが多い。もちろん屋号もないので拍手ぐらいしかできないが、コメントではさっそく「かわいい屋」という屋号が創作されていた。

・大向こうで屋号のかかる対象は大役のみ
大向こうで屋号がかけられるのは主役級のみで、「花街詞合鏡」で言うと獅童さん、國矢さん、ミクさん、テトまで。ここで敢えて「NTTさんは電話屋」と言ったのは獅童さんらしいシャレだが、それに全力で乗るのが「超歌舞伎」の客。結果「分身装置」や「電話屋さんが届けた手紙」という大道具・小道具にまで屋号の大向こうがかかる、という新機軸が誕生。
青龍の攻撃を現したうろこ隊も半分は歌舞伎役者だが半分はアクション俳優さんなので、ここにかけられる屋号もない。
で、去年の超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」の時点で、國矢さんは屋号がかかる役の経験があまりない状態だった。そこで青龍役として登場した「今昔饗宴千本桜」で5000人から頻繁にいい感じのところで「紀伊国屋!」とかけられたもんで、大変喜んでいただけた。
もっとも5000人が一斉にいいタイミングで大向こうをかける、それも毎年うまくなっていく、というのは「超歌舞伎」だけなので、獅童さんはじめ他の演者さんたちも感心する、大変特殊な場。

・子役さんかわいい
子役さんはボカロファンの間でかわいいと人気で、その話はご本人に伝わったらしい。

・歌舞伎には場面専用のBGMがある
戦闘シーン等におきまりのBGMがあり、それがかかるだけで「今は何の場面」と演者にも観客にもわかるようになっている。
今回の戦闘シーンは「どんたっぽ」。太鼓の「どん」と鼓の「たっぽ」が特徴。

・武器の桶
遊郭は繁華街なので抜刀をするということはしない。なのでその辺に置いてある桶を武器にするパターンが多い。

・逆立ち
倒されましたという意味。ズッコケ。

・青龍憑き新右衛門の隈取が一部半分だった理由
「半分乗っ取られてる」ので隈取が半分になっている。

・獅童さんCG疑惑
あまりにかっこよく登場したのでARキャラのようだったw

・だんまり
「黙って演技する」からだんまり。普通はここまで長くスローになることはないが、今回は映像とあいまってそれが演技になっている。

・舞台横の炎、桜の幕
歌舞伎にもああいう演出はあって、パネルになっている。で、舞台に合わせてパタパタと切り替わる。

・「数多の人の言の葉」で全部解決しちゃうシナリオって歌舞伎的にどうなの?
歌舞伎でも「御仏の力で全部解決」というお話もよくあるので違和感はない。その演出がかっこよくて演者を輝かせるものであればいい、というのが歌舞伎の考え方。なので最後のライブ的な盛り上がりもそれはそれ。

・蝶紫さんの大はしゃぎ
袖を端折って笑顔で腕を振る蝶紫さん。ボカロクラスタとしても「盛り上がってくれてありがとう!」な場面だったが、これは歌舞伎クラスタさんにとってもいい場面だったそう。

・その他中の人による衝撃のオフレコ話
ありがとうございます。これは去年のオフ会に続く、墓場まで持っていくすてきなお話でございます。

・獅童さんへの寄せ書き
超歌舞伎オフ会からご本人に寄せることができるなんて…何と素晴らしい。
獅童さんのイメージを考えたメッセージを残したつもり。
人間ドックほんと大事。自分も受けるべきかなぁ…。

追記1:ミクさんのセリフの拍の取り方について
ミクさんの発音が西洋楽の拍の取り方での発音になっていて、日本の、純邦楽の拍の取り方になっていないという話。
確かに日本の伝統芸能では「1/4拍」「1/8拍」早くしたり遅くしたりする(ほぼフィーリングで)ことで味を出すものがあり、1拍の長さはあまり一定していない。ミクさんの場合発音そのものが西洋楽の楽譜上にプロットするので、そうとう意識しないと西洋楽の拍になると思われる。
のだけど、現代の人の大半は音楽を西洋楽で学んでいるので、西洋楽の拍しか知らない。なのでミクさんが西洋楽の拍に沿って話してしまうのは「いかにも」感がある。

二次会に行った誰か氏~!
二次会で出たお話をぜひレポってくだされ~!
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コメント

詳細なレポありがとうございます。

気になった個所がひとつ。
見得は「切る」ものではなく「する」ものです。

失礼申しました。

  • [2017/05/29 14:47]
  • URL |
  • 通りすがりの歌舞伎ファン
  • [ 編集 ]
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寄り目について、ちょっと誤解と混同があるようなので訂正を

目を寄せるのは見得で「片目だけ寄り目で片目はまっすぐ向く」これは陰陽の見得と言って太陽と月を表し、成田屋の『睨み』という独自のもの。他のお家の方はできません、というかやっちゃいけません。

当代で『睨み』をやっていいのは海老蔵だけです。正月に睨まれると無病息災ってのも『睨み』で普通の見得にはこの効能はありません。(本当にあるかどうかは置いといて)

情報ありがとうございます。

訂正させていただきました。ありがとうございました。

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