【コラム】「超歌舞伎 花街詞合鏡」感想2)ミクさんとテトについて 

この記事では、 歌舞伎クラスタの人があまりご存じないであろう「超歌舞伎 花街詞合鏡」のボカロ側要素についてまとめていく。



<ミクさんのモチーフがやたらと蝶な理由>
遊女と言えば蝶というイメージ、また前作でも蝶がモチーフとなった演出があったが、そのものずばり「初音ミク 蝶」という和装モチーフの衣装がある。
「初音ミク 蝶」Google画像検索
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%88%9D%E9%9F%B3%E3%83%9F%E3%82%AF+%E8%9D%B6&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjVnfvqoNTTAhUCkZQKHfcGBFUQ_AUICigB&biw=1726&bih=818#imgrc=8Yhmn2KUI1bX1M:
なので和装で遊女となると、なおさらミクさんは「蝶」のイメージが強い。

<そもそも「重音テト」って何なのか>
今回仲居役で登場し、「唄でなじみ」と言われた重音さん。公式サイトに説明がある…
重音テト・オフィシャルサイト
http://kasaneteto.jp/index.html
のだが、ぼかしてる部分もあるのであわせてお話を。

元々は2ch内でも、当時最もたちが悪い奴が集まっていると言われた掲示板で、
「エイプリルフールに、新しいボカロが発売される!というデマを流し、それらしいサイトも作って、最先端気取っていい気になってるボカロ好きを騙して嘲笑してやろうぜ!」
という、完全に悪意だけをベースにして作られたキャラクター、と言われている。
一方、歌っていない人を強引に歌わせる「人力ボーカロイド」という技術が以前からある。誰かの発言の録音から五十音を抜き出し、その声の音程を自力でいじってつなげて歌ってるように聞こえさせる、というもので、同じ作業をひたすら繰り返すめんどくさいものだった。これを効率化するために、
「五十音の発音を録音したデータを用意すれば、音程の方は自動で変えてくれる」
という無料のソフトウェアができ、「UTAU」と命名された。
で、この騙しキャラに 「UTAU」で 合成音声もつけてさらにもっともらしくしてやれ、とはじまり、出来上がったのが、歌声合成ソフトとしての「重音テト」。
声質は機械っぽく、Ver.2時代の初音ミクと比べて劣るものの、「完全無料で歌っぽいものを作れる」ということで広まった。その後改良が加えられることで十分鑑賞に耐えうる歌を歌えるようになり、最終的にボカロ好きに親しまれる歌声合成ソフトウェアの一つとなった。

<「三代目 重音テト」の三代目って何なのか>
この「重音テト」を作るにあたり、各種プロトタイプが作られているが、最終的に決まったデザインのデザイナーによるプロトタイプが2つ存在する。
まず最初に作られたのが「お題を募集した後の〇〇番目に書かれた内容を採用する」といういい加減な方法で作成されたもので、有名作品のキャラの寄せ集めみたいな、完全にお遊びのもの。
これではさすがに騙せない、もう少しましなデザインを、と集められたもののうち、このデザイナーにより制作されたものが2つあり、片方がボツ案となった。
で、この最初のお遊びのキャラを「初代テト」、ボツ案を「二代目テト」とし、これらはそれぞれお遊びの動画に使われている。

つまり 正式採用された「重音テト」はこのデザイナーによる3世代目の「重音テト」ということで、「三代目重音テト」と呼ぶことができる…のだが、それほど周知の事実というわけでもなく、ボカロ好きでもこの話を知らない人は少なくない。それを超歌舞伎で採用したことで、 重音テトのファンが大変喜んでいる。

<2日目の初音太夫の花魁道中にいた金髪の禿と若い傘持ち>
2日目から 初音太夫の花魁道中の映像が変わり、禿と傘持ちがきちんと表示されるようになった…らしいがちゃんとは確認してない。少なくとも2日目1部からはちゃんと表示されていた。
初音ミクを製作しているクリプトン社の公式が言っていた「リン・レン・KAITOがチョイ役で出演する」と言われていたのがこれで、金髪の禿2人が鏡音リン・レン、傘持ちがKAITOというキャラで、いずれもクリプトン社から発売されたボーカロイド製品のキャラクター。

KAITOは青髪の青年で、「初音ミク」が登場する前に発売されたもの。その前に発売された女声ボーカロイド「MEIKO」が3000本という、音楽制作ソフトとしてはスマッシュヒットを生み出し、だったら男声も需要あるんじゃないか、と作られたもの。結果当時500本しか売れず不遇をかこっていたが、初音ミクの驚異的な大ヒットで「VOCALOID」による歌が知られるようになってから「男声VOCALOID」として評価されるようになった。
ほがらかな歌い方をする傾向があることと、パッケージのキャラも美形というよりかわいい系キャラに描かれたこともあり、一部女性ファンに目をつけられた結果「いじめられ担当キャラ」扱いされている。たまにかっこよく描写されるが、だいたい誰かに足蹴にされている。
今回は恐らく動画制作の時のチェック漏れなのかわざとなのか、カメラがミクさんを中心にぐるっと回る間、ずっとカメラ目線。こういうお茶目なところもKAITOの性格と言われていて、だからこそ足蹴にされるとかなんとか。
もちろん嫌われているのではないし、格好いいPVも存在する。海外では「足蹴にしない系の」ファンが多く、中南米でのライブではミクさんに負けず劣らずの黄色い声援が飛ぶ。

鏡音リン・レンは「初音ミク」に続いて発売されたもの。金髪碧眼でミクより少し背が低い、14歳の少女・鏡音リンと、14歳の少年・鏡音レンの2人。「少年声と少女声の両方を扱えるソフトウェア」として発売された。比較的扱いやすい「初音ミク」に比べてより強く矯正をかけなければならず、音痴だったり舌ったらずで聞き取りづらかったりなど扱いが非常に難しいが、その力強い声質はロック向き。数多くの優秀な作曲家の楽曲にも恵まれ、初音ミクに続く人気を得ることとなった。
そっくりな顔立ちと背丈の少年少女だが、この2人が双子であるかどうかについての公式設定はなく「鏡に映った自分の鏡像」をイメージして作られたものだ、と言われている。ただ哲学的な設定は扱いづらく、もっぱら双子扱いされている。
初音ミクの圧倒的な人気に対抗できるキャラとして登場当初から期待されており、いつか追い抜くと宣言する「下剋上」という曲も作られたり、一時期は女子高生のクラスの中で初音ミクと鏡音リン・レンのどちらが好きかで派閥ができるようなこともあったとか。しかし日本では初音ミクの人気が圧倒的で、追い抜くには至っていない。海外、特にアメリカではミクさんと並んでの人気を誇る。
今回の禿はどっちがリンでどっちがレンだったんだろう…まつ毛の表現の有無あたりで確認できそうではあるけれど。

<ミクさんの舞踊がどれだけすごいことなのか>
今回のミクさんの踊りは本当になめらかで美しく、それだけで鑑賞に足るものとなっていたのだが、これは「Animelo Summer LIve 2009」でのミクさんの初舞台から観てきたファンにとっては、本当に感慨深い話。
「Animelo Summer LIve 2009」で液晶モニターの中だったミクさんが「ディラッドボード」で初めてちゃんと舞台に立ったのが同じ2009年の「ミクFes'09(夏)」。この時は横移動ができず、舞台上の3枚のボードに出たり引っ込んだりしていた。それが1枚の横につながったのが2010年の「ミクの日感謝祭」で、これ以降横にダッシュしたり羽をつけて空を飛んだりとどんどん自由に動くようになっていく。
一方、勢いでごまかしのきかないゆったりとした表現は難しかった。特に指先を「遠くからでも見える」レベルに表現することは難しく、始めの頃は数を数えて見せることすらできなかった。去年、その難関を超えて、日舞ならではの指先の美しさを表現するに至ったが、それに加えて着物の揺れやよれの表現、腕や足さばきまで、実在感をもって表現されていた。ミク拝にとっては技術の進歩を目の当たりにしてきているわけで、大変感慨深い。

<AR技術>
ぶっちゃけて言うと「リアルタイムでの特撮(合成)」。コンピューターグラフィックを生中継の動画にかぶせることで、まるでそこに物があったり人がいるかのように見せることができる。今回の「超歌舞伎」では天井の装飾と、ミクさん、テトの舞台上の体を表現するのに使われた。合成映像なので現場では直接見られず、ニコ生を映し出しているモニターを通して観ることになる。
去年は後ろのディラッドボードに映し出された映像とのつり合いが取れていないところがあったが、今年はこの点が改善されたほか、ミクさん本体のモデリングも洗練され、大変美しくなっていた。
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