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【コラム】シネマ歌舞伎「歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉」感想 

「超歌舞伎」から歌舞伎を見始めた初心者による歌舞伎感想。今回はシネマ歌舞伎「歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉」の感想。

あれ「超歌舞伎」で見た!六月大歌舞伎の第三部(「道行初音旅」「川連法眼館」)で見た!というポイントがたくさんあり、舞踊や独特の節回しでの話し方も多かったのだが、歌舞伎座で見た古典と比べて、くだけた話し方の主人公にメタな笑い、剣を合わせた殺陣など、超歌舞伎よりさらに一歩進んだ離れ具合だった。
「超歌舞伎」の感想の中で歌舞伎ファンから「超歌舞伎がちゃんと歌舞伎だった」という感想が出ていたが、確かに「超歌舞伎」の殺陣は実際にぶつかり合わない歌舞伎の殺陣だったし、台詞回しも歌舞伎らしい節のついたものばかりで、「超歌舞伎」の方がより古典に近い演目と言えるかもしれない。それぐらい「阿弖流為」はぶっ飛んでいた。

「超歌舞伎」を見た方にはぜひ「阿弖流為」も見ていただいて、歌舞伎という世界の広がり具合を体験してもらいたいところ。
前半は大いに笑い、後半は手に汗握る展開。言葉遣いも現代語に近く、話の筋もわかりやすい。特にグイン・サーガ、ロードス島戦記、アルスラーン戦記、十二国記などの軍記物SF・ライトノベルを読んでいたり、「ファイアーエムブレム」をプレイしていたような皆さんに強くお勧めしたい。

さて続きはネタバレで感想を。



<殺陣>
一番驚いたのは殺陣。「超歌舞伎」で見た遠隔投げみたいなのするのかなーって思ってたら、普通にガンガン剣当ててたし、剣当てたまま力を込めながらせりふを言うのも現代劇だった。でも戦闘中に歌舞伎らしい「スローモーション」が入ったり、戦闘のとどめは二人で見得を切ったりとしっかり歌舞伎。
この殺陣が、特に後半、どことなく「ファイアーエムブレム」を連想するような感じで…スナイパー守るために比較的硬いロードとマスターシーフで壁作ってるなーとか、クライマックスの田村麻呂とアテルイが舞台の両端で構えてる様子は本当に「ファイアーエムブレム」の戦闘画面に見えた。
なのでなおさら、歌舞伎がここまでやるのか、と強い印象を受けた。

<坂上田村麻呂>
主人公の一人で、月代なしで髷を結って先がボサボサ、という「義経千本桜」の亀井六郎に近い髪型。もしかしてこいつ若くて元気なキャラかなーと思ったらやっぱりそうだったw
どちらかというと落語に出てきそうな、江戸の町人っぽい話し方で、頭は強くないが素直で洞察力が高くノリがいい、正統派ヒーロー。
クライマックス直前の、鈴鹿の幽霊が剣を指さすだけで消えていく瞬間の
「おいおい待ってくれ俺そういう謎かけ苦手なんだよぅ!」
には会場も笑いに包まれた。
でも最後には成長して、政治家らしい姉にもひるまず立ち向かう様子は感動だった。

<アテルイ>
登場時点から彫りがガッツリ深くて、掟破りで蝦夷を追い出されたという暗い過去を持つシリアスキャラ…のギャップを利用した最も面白い人w あの顔立ちで面白い事されたら噴き出さざるを得ないw
一番面白かったのは、やはり坊さんとの戦闘での大見得合戦。
長セリフ+見得を切った後、坊さんに「なんだてめぇ大見得切りやがって」とメタなことを言われた後、あの神妙な彫の深い顔で
「高麗屋。」
そのキリッとした顔でセルフ大向こうwwwwww反則過ぎるwwwww
続いて田村麻呂も登場し「俺もやる!」と大見得を切った直後、壇上の役者みんなで
「中村屋ぁ~っ!」
おいwwwwwww
そして坊さんに「何だ何だ出てくるたびに大見得切りやがって!」と突っ込まれて、田村麻呂と二人で
「(歌舞伎役者の)さがだ。」
またこのアテルイがキリッとした顔でwwwwwwww面白すぎるwwwwwww
後半は悲壮なヒーローとして戦う姿がかっこいいのだけど、このギャップは反則級の面白さだった。
軍神として戦う時は「強いキャラ」を示す赤い印が額に出てたのが、田村麻呂との最後の戦いで消えてて、
「あれっ、お前神の力はどうしたんだ?」
と田村麻呂に言われてるところ、歌舞伎演出と現代劇の演出がうまく組み合わさってて感心した。

<蛮甲>
モヒカンがトレードマークな蝦夷。モヒカンを手でなでながら「蛮甲」。一番歌舞伎っぽくなかった自由キャラ。蝦夷だし。
一番生き意地の悪い男ですぐ寝返るクズ人間だが、最後の最後でかっこよく散る。それまでが小物でクズすぎただけに本当にかっこいい。

<クマ子>
ある意味マスコット。でも飼い主?夫?の蛮甲を逃がすため、皇兵を倒し、「人食い熊に襲われたことにしろ」と自分を倒させるといういじらしさ。

<藤原稀継>
坂上田村麻呂の伯父で右大臣。キンピカのいい伯父さんだと思ってたのだが、いかにも貴族らしい最悪野郎だった。
妖術使い始めてから「悪者マーク」の青マークが出てて、これも歌舞伎らしいところでよかった。

<御霊御前>
坂上田村麻呂の姉で巫女のおばさん。まさにきたない政治家。そういうことする政治的な理由はわかるけどきたない。
ヘマした坊さんはさっくり見捨てる。稀継も黒縄も全員死んだのに、最後まで大したダメージなく生き残る。
きたないさすが御霊御前きたない。

<鈴鹿&アラハバキ鈴鹿>
アラハバキ鈴鹿は妖艶な「高烏帽子党」マスターシーフ。だがクマ子相手には「誰も突っ込み入れないけど、熊!?」と動揺している様子が楽しい。
一方で本物鈴鹿はおしとやかで優しい女性。この演じ分けもすごかった。
本物鈴鹿出てきた時は最初「あれ何で鈴鹿が?」と思ったけど、こちらが本物とわかった時には「じゃああのマスターシーフ誰だよ!?」ってなった。
稀継が悪者化するわお姉ちゃんも悪者に加担するわの後、マスターシーフ鈴鹿が戦を煽るアラハバキとわかって、まさに「お前もか!」。
もっともアラハバキは身を守るための戦いをしてただけなのでかわいそうである。

<佐渡馬黒縄(さどまのくろなわ)>
背が小さくて青マークついてない、ってことは「道行初音旅」の藤太と同じで弱い道化の敵役だな、と思ったらやっぱりそうだったw
でも藤太と違ってしぶとく、何かと出てきて悪さをする超ウザキャラで「 ま た お ま え か 」w
このウザさと道化っぷりがすごくよかった。

<モンスター型アラハバキ>
モフ屋ふたたび。

<歌舞伎のお約束類>
・「人外の者の出入り口」とされる、花道の舞台側の端にあるせり上がりである「すっぽん」。「阿弖流為」では都から妖術を使う御霊御前と、霊として田村麻呂の前に出てくる本物鈴鹿の出入り口になっていて、歌舞伎のお約束通りの「人外」というのがわかるようになっていた。
・大見得での「カッカッカッ」をここでもやっていた。
・坊さん相手に「さぁさぁさぁ」と凄むところもまた「超歌舞伎」で見たアレだ!とテンションアップw

<シネマ歌舞伎特有の表現>
稀継と御霊御前の妖術シーン、シネマ歌舞伎では舞台ではできない映像演出が加えられてて、これ「超歌舞伎」のARやコメントにも通じるなぁと思った。
「超歌舞伎」はリアルタイムで映像に反映させる、という新しさはあるけど、映像作品化した後手を加えるという形では歌舞伎はすでに去年やってたんだなぁ、と思うと、歌舞伎の柔軟さがまたよくわかる。
「超歌舞伎」もコメント入りでシネマ歌舞伎にしたら…どうですかね??
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