【レポート】上田城千本桜まつり+「千本桜でお花見ライブ」レポ 

 上田城のコラボイベントについては、こんな話が流れていた。
「コラボと言う面では、一部物販と、BGMで「千本桜」が流れている程度だから、ボカロを期待して行くのではなく、単純に観光として行ったほうがいい。イベントのある20日に行くのが一番面白そうだ。」
 ということで、20日に行ってみた。


<上田城千本桜まつり>
 上田城の桜をアピールするイベントで、今年で10周年という。
 簡単に言ってしまえば、上田城跡の公園の桜がきれいなので、物産品を集めて屋台村を作ったり、ステージイベントを用意したり、という感じのもの。とはいえそこそこ広く、写真撮影や鎧の試着、屋台や物産品販売、さらにライトアップされた夜桜も美しいので、特にステージイベントのある週末なら、本気できっちり回ろうとするとまる1日かかるだろう。
 そんなところに2時過ぎについて、ステージイベントが始まるまでの1時間半と、イベント終了後の1時間ほどで、ざっと見て回った。

 桜は時期が過ぎていてほとんど散っていたものの、寿命の長い一部の桜は残っており、特に夜にライトアップされた姿は、城の建物とあいまって大変美しかった。最盛期ならいい画がたくさん撮れそうだ。
 屋台村は地元の物産エリアは野菜や工芸品を販売。一番の目玉は「美味だれ(おいだれ)焼き鳥」で、鳥のもも肉の焼き鳥に後から「追いだれ」をかけるというもの。香ばしく、たれの味も美味。
 神社の中には小さな茶室もあって、チャリティの料金を支払い、抹茶と菓子をいただける。大変小さな畳敷きの、おもむきのあるあずまやで、お茶もおいしかった。

<「千本桜でお花見ライブ」>
 特設ステージで行われた野外ライブ。地元の消防団や大学のサークル、ダンスチーム、地元の観光活性化団体である「おもてなし武将団」による演技、地元発のアイドルの他、ニコニコ動画の歌い手である「佳館杏ノ助」さんと「鋼兵」さんが登場する。
 ということでミクさんはかすりもしない雰囲気があったので、正直「チラ見するぐらい」の気分でいたのだが、すっかり楽しんでしまった。

 オープニングは千本桜のブラスアレンジの消防団による演奏。変わったところから始まるなーと思ったら、司会として千本桜ミクさんコスのアイドルさんと、「上田おもてなし武将団」のリーダー、真田幸村氏が登場。この人がストレートににぎやかな人で、戦国BASARAの幸村にも通じる所があって、それが面白くて見始めた。
 続いて信州大学のよさこいサークルによるダンス。いかにも大学生だなーという感じの演技だが、ダンスにもキレがあり、そうとうの練習量が伺えた。
 これに続いたのが「スペシャルゲスト」の「佳館杏ノ助」さん。「和樂・千本櫻」の唄い手(こう書いたほうがしっくりくる)。演歌歌手系の発声法だが、声量も声の通りもすばらしかった。銚子と王子でマイナーなリアル演歌歌手の歌声を聴いたが、正直、杏ノ助さんのほうが断然うまかった…。
 さらに特筆すべきは、杏ノ助さんの衣装。「千本桜」PVのイラスト作家であり、「千本桜」関連のイベントに多数絵を出している絵師「一斗まる」さんによってデザインされた「千本桜コス杏ノ助版」をまとって登場。海軍将校ベースで例の長い振袖、背中に意匠化された「杏」の文字。まさかこんなものまで作ってくるとは…「千本桜まつり」スタッフの力の入りっぷりが確認された瞬間である。これで最後まで居座ることに決めた。

 運営からのCMの後、地元ダンスチームによるダンス。で、これが「上田城の映像をバックにうつるミクさんのPVをモニターに映して」のパフォーマンスだった。MMDを使ってダンサーの複雑高速なダンスをきれいにトレースし、背景に一斗まるさんのイラストやら上田城の実写映像やらをうまくあわせていて、見ごたえのあるPVに仕上がっていた。こんなものまで作ってくるとは、この運営、本気だ。
 その次の演目が「おもてなし武将団」による演技だということで、雨もひどくなったので回復のための時間にしよう、とラーメンを買い、休憩所に退避。実はここには上田だけではなく、新潟からも「上杉おもてなし武将団」が来ていたらしい。うーむ、見ておけばよかった。
 で、この演技の最中、「千本桜」でUOたいてオタ芸打ってる人たちを発見。地元アイドルグループ「あっぷる学園応援部」のファンの皆さんのようだ。この次がそのグループの出番で、そこまで休憩時間にする腹積もりでいたのだが、オタ芸見せられると気になる。ということで、アイドルさんのオリジナル曲が終わった当たりで戦線復帰。
 2曲目からは「恋は戦争」→「ワールドイズマイン」→「千本桜」とボカロ曲カバー。「恋は戦争」は、音響の不具合もありちょっと残念な感じだった。あの曲はオクターブ差が大きすぎて、カバー向きではないと思う。もうちょっと「人間向き」な曲を選んだほうがよかったかなーと。
 で、「ワールドイズマイン」を聞かされて、後ろでオタ芸打ってる人がいる…ミク廃としてはいても立ってもいられない、ということでこの人たちとちょっと離れたスペースでオタ芸開始。幸いみなさんいい方で、仲間に入れていただき、サイリウムまで分けていただいた。ありがとうございますm(_ _)m でもロザリオ簡略化版だし、サンダースネイクしか打てなくてごめんなさい…。
 この2曲では全力オタ芸の他、ミクパ仕様での「合いの手」も入れさせていただき、寒さを吹き飛ばすと同時に思いっきり楽しめた。本当にありがとうございました!

 で、最後の「鋼兵」さんのステージ。これは本当にすばらしかった。
 ステージに上がった中では一番ステージ慣れしてたのか、観客の煽り方、載せ方がうまく、それまで遠慮がちに手を叩いていた観衆を総立ちにさせた。
 歌い手ファンでもないのにこんなこと言うのも何だが、歌そのものもうまくなってた。前回近くで見たのはドキ生8の時だったか、微妙にピッチが外れることがあって、聴いてて違和感がぬぐえなかったが、今回それがなく、クリアになっていた。歌うのが好きで、努力もしているんだなぁ、ということがよくわかるステージだった。
 しかしながら、鋼兵さんのステージで最も感心したのは、別の所にある。
 ひとつは、会場の参加者にボカロファンが多いことを見て取って、セットリストの変更に踏み込んだこと。切り替えるセットリスト候補の曲を用意していたということもあるが、観客を見て直前の変更に踏み切る英断はさすが。だからこそ「知っている曲」を聴かされたファンは大いに盛り上がれた。
 もうひとつは、準備不足で進んでいたPA担当からの「曲順わかる人こっち来て下さい」という発言への対応である。直前の変更が入ったからってPAのお前がわからないとはどういうことだよwと思ったが、こういうパターンなら「準備が出来るまで適当なトークで持たせる」ということを大半の人はすると思う。でも、鋼兵さんは違った。
 かけるCDを指示した後、
「僕が『何曲目かけてください』と言うんで、それかけてください。」
と自分で指示を出すことにして、流れを切らないようにしたのだ。
 確かに毎回歌い出す前に、
「6曲目かけてください」「4曲目お願いします」
といちいち言ってるのはなんか違うなとは思うが、PAがあんなことを言った時点で雰囲気は十分異質で、この程度のことはもはや気にならない。適切な曲を適切に出してくれさえすれば、あとは鋼兵さんがパフォーマンスで盛り上げればいいのだ。
 この辺の対処も、鋼兵さんの手馴れた感じが出た所で、とても感心した。雨足が強まり、土砂降りと言わんばかりの状態になってもなお、会場が熱狂で満たされていたのは、鋼兵さんのこうした対処にも負うところがあるだろう。

 そして何より、今回のイベントスタッフの熱意と、それによって出された効果的な企画が、このステージを成功させる要因となったと考える。
 音響などのトラブルは些細なことで、重要なのは「企画の中身」。タイアップしたボカロをないがしろにしていないか。ファンが見ても喜べる物になっているか。そうしたものを生み出すには、企画者はもちろん、スタッフ全体の熱意と、何より全体を統括し経営する人物の理解が必要不可欠だ。今回のイベントは、間違いなくそれに成功していた。PVや衣装の製作、ボカロ曲を全面的にフィーチャーした内容、ダンスやブラスバンドアレンジなど多彩かつ相応のレベルを伴った出し物など「ちゃんと作ったな」というものが見える内容だった。
 これは先日のフジテレビの「ボーカロイド歌謡祭」が叩かれたのと同じ観点だ。
 フジは「初音ミクは設定を細かくしたことで成功した(実際は逆)」と発言する、最初に出てきたミクさんやがくぽのMMDモデルのクオリティが低いなど、「テレビとしてあるまじき」ミスやクオリティの低さを見せてしまった。挙句、自社のバーチャルアナウンサーである「ルネ」さんに対し、男性アナウンサーがバーチャルであることの揚げ足を取るような発言(「感動することもあるんですね」など)に終始していた。結果、製作サイド、とりわけGOを出した上層部の理解度や熱意に疑問を呈さざるを得なかったのだ。
 もちろんフジの「ボーカロイド歌謡祭」でも、ニコファーレを利用した、ARでのボカロPやGACKTとの競演など、優秀な企画はあり、その点は高く評価できる。しかし、フジは肝心な所でミスを犯したのだ。

<総評>
 真摯な姿勢でのコラボで、ボカロファンとしても楽しめるステージに加え、本来の城としての景色も美しい。ミクさんを見に行くと言うより、観光ベースで行くと、大変楽しめるイベントだった。
 特にねんどろいどやぬいぐるミクさん、DIVA fのAR機能をフル活用する「撮影勢」にとっては、大変いいコラボだったのではないだろうか。
 来年も同じコラボをするのなら、ぜひやって欲しいし、見に行くことをオススメしたい。
 それと同時に、これからコラボ企画を進めようという地方団体のみなさんは「上田城千本桜まつり」を参考にするといいと思う。
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