【日記】AKB起用批判派からの「千本桜騒動」批判に対する批判 

 今回の「千本桜」騒動について、AKB起用批判派を身勝手な推論で批判し続ける連中が多いので、今回のAKB起用発表とその報道を批判する者として、一筆書かせていただく。

 AKB批判をしたファンへの批判として版を押したように書かれるのが「『みんなのミクさん』というテーゼを破壊した」という小難しい理由だ。おそらくニコニコ動画の、ボカロ批判派のなりすまし荒らしコメントあたりに釣られた上、これ以外の正当な批判のポイントが見つからなかったのだろう。事実上のマッチポンプである。
 AKB起用に対する批判は、こんな小難しい理由ではない。もっと単純な話だ。



 まず、報道の仕方が悪すぎる。
 初期報道では「AKBが初音ミク役に」としか報道されなかった。石田氏は一部にニコニコ動画愛好家として知られ、「ドリームクリエイター」にもレギュラー・準レギュラーとして出演、ボーカロイド楽曲についても含蓄が深い。しかしながら「ニコニコ動画ファンとして知られる」の二つ名を初期報道ではあえて外しているのだ。
 こう書いてしまうと「あー、そういうこと」とあっさり納得されてしまい、記事としてのインパクトがなくなるからである。「意外さ」をアピールするために、あえて黙っていたのだろう。案の定、この起用に対しては非難が殺到した。

 その後、このからくりは朝日新聞・丹治氏の記事をはじめとした後追い記事で種明かしをされる。

ミク役にAKB石田晴香 ミュージカル千本桜、3月公演
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130110-00000038-asahi-ent

 しかしながら、この記事には重大な手落ちがある。ルカ役の「富田真帆」氏の来歴について、一切記載がない。そのため、まるで「ミュージカル・テニスの王子様の主演俳優とAKBのアイドル」を演技の柱としているかのように見えてしまっているが、実態は異なる。
 富田氏はニコニコミュージカル「源氏物語」でヒロイン「紫の上」を演じた実力派である。つまり、ニコニコミュージカルの演技面の柱は「テニミュ主演俳優」と「ニコミュ実力派」の2人であり、AKBの石田氏はニコニコ愛好家として、AKBのお友達(市川美織氏)を連れてゲスト参加し、華を添えているに過ぎないのだ。その記述が示されている記事は、あったかもしれないがほとんど目立っていない。
 このため、さほどニコニコ動画関係に踏み込んでいないボーカロイドファンの一部に、「演技では素人同然の、何の関係もないアイドルが、AKBの名前で強引にヒロイン役にねじ込んできた」ように見えたのだ。
 AKBならニコニコミュージカルではなく、どこかのテレビのドラマでやればいいだろう。本格派の演技を期待していたのに無関係な素人は邪魔でしかない。
 「演技の柱は主役と別の脇役の実力派が担っていて、AKBと言ってもニコ厨だ。」この情報が初期から流れていれば、このようなひどい騒動にはならなかったはずだ。

 さらに、AKB 石田氏側にも、浸透させる努力が足りなかった。
 たとえこれがAKBではなく、ちょっと知られている程度の歌い手だったとしても、「なんでお前なんだ」という議論は沸きあがったに違いない。「ミク曲の歌い手と言えばこの人」「千本桜の歌い手と言えばこの人」ぐらいの知名度がないと、ファンを安心させることはできなかっただろう。最低限、石田氏は「みんなが知ってるAKB歌い手・生主」ぐらいの知名度をもって乗り込むべきであったが、それすらクリアできていなかったのだ。
 2011年の東京ミクパで、前座として歌い手界隈では有名だった相沢舞さんが登場した時の反応を思い出して欲しい。こいつは誰だ、なぜこんなところで歌う、「次が最後の曲になります」とはメイン歌手気取りか、と厳しく叩かれたことを覚えているだろうか。
 歌い手として知られている人ですらこれである。さらに「AKB」という肩書きを背負った人間が登場したらどうなるかは明らかだ。
 これをもって「『みんなの初音ミク』というテーゼ」という謎の決めつけをするのは誤りだ。初音ミクが「みんなの」なのではない。公式のボーカロイド・ミュージカルと言う場全体が「みんなのもの」なのだ。そこに、一見仲間ではないどころか、一部の人間にとっては敵でしかない肩書きを持つ人物が、まるで中心的役割を担うように現れたらどう思うか。「コイツは何者だ、何故ここにいる。」が第一声になるのはわかるだろう。

 これにAKB特有の「メンバーが頑張れば中身はどうあれ大絶賛する」という体質や、一部AKBヲタの、他のアイドルやアーティストを見下す体質が拍車をかける。
 AKBが参画した時点で、この舞台に対する批判はすべて封殺されるのが確定している。何でもいいから推しメンをちやほやして持ち上げることが至上命題のAKBヲタたちが、舞台を批判する人間を片っ端から攻撃するからだ。もちろんメディアはAKB様であれば中身が何でも大絶賛するに違いない。
 これでは「千秋楽まで暖かく見守る」もへったくれもない。「見たけどあれはダメだった」ということを一切言えない圧力をかけておきながら、「見てから批判しろ」などとよく言えるものだ。
 その上、AKBヲタの一部が「いい加減二次元から目覚めろキモヲタw」とバカにしてくるのも明白である。
 こんなものを、一部の熱いボカロファンが受け入れられるわけがないだろう。

 報道が最初から石田氏や富田氏の来歴を明かし「ニコニコミュージカルとしてきちんと役者を揃えました」というところをアピールできていれば、石田氏が文句を言わさないほどの知名度を得ていれば、騒動は一部の先鋭的なファンにとどまっただろう。
 特に報道はわざと情報を欠落させ、騒動を起こさせ、ニュース記事を増やそうとしたも同然だ。

 ボーカロイド界隈に参加するにおいて、特段の垣根は存在しない。誰でも参加してよいし、誰が抜けても気にしない。しかしながら、めったにない、と思われている「公式イベント」と目される催し物に登壇する人物に対しては、相応の箔を求める。すなわち「われわれの仲間として大変よく知られる人物であるか」あるいは「その道のプロであるか」である。ファンにとっては、それだけ大きなポストなのである。
 石田氏がAKB所属とはいえわれわれの「仲間」であることが十分に知られていなかった、またその報道がなかったことが、今回の騒動を招いたのである。

 AKB起用に批判したボカロファンを批判する前に、なぜ批判をしたのかを、身勝手な推論をすることなく、よく考えてみていただきたい。「テーゼ」なんてあいまいな用語を使う必要は、何一つないのだ。
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