【日記】超パーティーお堅い感想2「自ジャンルの活性化」 

 「ニコニコ超パーティー」では、杵家七三社中による、純邦楽楽器を使用した東方Project楽曲「Bad Apple!」の演奏があり、観客を大いに沸かせた。
 出演者の杵家先生がおっしゃっていたとおり、純邦楽、いわゆる日本の伝統楽器をつかった音楽は、年配者と関係者ばかりが楽しむだけとなってしまって久しく、その年配者すら年々少なくなっている。今の高齢者はクラシックやジャズに凝り、そちらに進んだ人も多いためだ。今後POPSに親しんだ層が高齢化する中、純邦楽はジリ貧である。
 そんな中で、若い人々に演奏を聞いてもらい、あれだけ大きな拍手をもらえる演奏ができたことは、杵家先生にとっても大変うれしいことだったに違いない。
 幼稚園事故の頃に筝を習って以来、大学では純邦楽のサークルにも入っていた、尺八演奏経験者の一人として、純邦楽の観点から、自ジャンルの活性化、ということを話していきたい。



 僕が所属していたのは、純邦楽でも伝統的な音楽を重んじる方だった。演奏するなら江戸時代の古曲が最高峰、楽器構成も筝、三弦、尺八の「三曲」と言われる構成で、筝でも低音を鳴らすことが出来る「十七弦」を使うのは「現代的」と言われる、そんな世界だった。
 そういう人間から見ると、杵家先生が所属する「日本音楽集団」は正直、異質である。
 なぜそこで尺八ではなく篠笛を使う。琵琶じゃなくて三弦でいいだろう。太鼓や鼓はお祭りでやれ、純邦楽には要らない――大学のサークルで日本音楽集団の曲をやることになって、なんでこんな純邦楽とも言えない曲やるんだろ、これならJ-POPSかゲーム音楽をみんなで演奏しようぜ、ぐらいに思っていた。実際、こう言っては何だが、日本音楽集団の曲はちょっと古臭いのだ。
 純邦楽やるなら伝統にのっとるべし、それがジャスティス、とそう思っていたし、それがつまらなくなって尺八を手に取るのをやめた、というところもある。

 しかし、それは伝統の中に閉じこもるだけにしかなっていなかった。
 ジャズやクラシックとのセッションなんてのもやっていたが、単にコラボしただけで、古臭い殻を破ろうという意識を感じられなかった。伝統の足かせから逃れられていなかったのだ。POPSとのコラボでは「所詮コラボ」であり、完全に余興でしかなかったような印象を受けた。自身の中に取り込んで表現しなおすのではなく、単に一緒に演奏しただけに見えた。
 日本音楽集団は、それを見事に乗り越えた。自分の中に取り入れ、昇華し、聴衆に提示した。伝統音楽からはかけ離れている、との批判を受けることを覚悟で、新しいフロンティアの開拓を目指した。確かな技術でブラッシュアップされた作品は、多くの若者たちに受け入れられた。若い聴衆は曲にしみじみと聞き入り、演奏終了で心からの惜しみない拍手を浴びせた。
 これは、僕が所属していた集団では絶対にできないことだろう。楽器の垣根を越えた演奏を実現している、日本音楽集団だからこそできたことだ。
 僕はサークルを見捨てるようにして出て行ったから、もう二度と純邦楽を演奏することは適わない身だ。それでも、もう一度尺八演奏してみたい、「傷林果」を吹いてみたい、そう思えるセッションを、日本音楽集団は達成した。あれを聴いて「純邦楽演奏してみたい」と思う若者も出てくるだろう。
 このように、日本音楽集団は「純邦楽」のよさ、美しさを伝え、ジャンルを広めることに成功したのだ。

 純邦楽に限らず、なり手が少なくてジリ貧になっているジャンルは少なくない。でもそこで邪魔をしているのは、伝統にしがみつく姿勢だったり、一部のヲタ文化にも共通するような、「わからんやつは来るな!」という排他的な態度だ。
 求道的に極めようとする姿勢は、なんら悪いものではない。しかしながら、それによってなり手はおろか視聴者すら排除してしまうような、そういう態度では、時代の波を超えることはできない。
 柔軟な姿勢で、どうやれば楽しいものができるか、人々を喜ばせられるか。身内が楽しむだけじゃないところを目指す、ということが、ジャンルの活性化と継続には必要なのだろう。
 それは決して自身のジャンルの延命だけではない。新しいフロンティアの開拓によって世界を広げ、自身の表現方法を広げる一つの手段でもある。こうした姿勢が取れない芸術は、時代に取り残され、消えてしまうだろう。
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 「ニコニコ超パーティー」では、杵家七三社中による、純邦楽楽器を使用した東方Project楽曲「Bad Apple!」の演奏があり、観客を大いに沸かせた。 出演者の杵家先生がお
  • [2012/05/13 05:13]
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