スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【コラム】なぜいまだに「初音ミク推し」なのか 

まめに見ると言って置きながら、年明けから放置で本当に申し訳ないです…。

今回はtwitterでいろいろ語らせていただい「ミク推し」についての考察記事を書いてみました。

今後しばらく「雪ミク」関連からのボカロ関連の考察についての記事をあげていこうと思いますが、更新スピードと日記コメントへのお返事はあまり期待しないでください…スミマセン。
twitter(@Bukkosan)へのコメントが一番応答速いかと思います…。


 「初音ミク」の登場以来、複数の会社からさまざまな日本語ボーカロイドDBが誕生し、それぞれに特色の生かされた名曲が誕生している。にもかかわらず、ボーカロイドの中心としてフィーチャーされるのは、依然として「初音ミク」である。

 実のところ、人の歌声をシミュレートするシンセサイザーとしての「初音ミク」の能力は決して高くはない。声色は扱いやすくはあるがフラットで機械的。無調声での歌声も、いくつか実演を見た経験ではGUMIの方がうまい。IAや結月ゆかりといった高性能なVOCALOID3 DBが出た今、VOCALOID2の初期型DBである「初音ミク」はもはや「旧型」である。かといってボーカロイドの「原点」でもない。ボーカロイドの出発点は2003年発売の「MEIKO」である。
 元祖でもなければ人の声をシミュレートもさほど優れてはいない。歌声シンセサイザーとしての「初音ミク」は技術的にも歴史的にも中途半端で、単に「ニコニコ動画」がはやり始めた頃に発表された扱いやすい最新型として爆発的な人気を得た、というだけに過ぎない。
 にもかかわらず、ボーカロイド界隈の中心には常に「初音ミク」がいる。最近ようやく脚光を当て始めたマスコミはいざ知らず、ボーカロイド界隈を見てきたという雑誌記者、「ボーカロイド文化を正しく伝える」と息巻く伊藤社長すら「初音ミク」を中心として語る。その結果として、旧型であるはずの「初音ミク」が人気を博し、本来ずっと性能の高い他のボーカロイドが不遇をかこっている。

 もちろん「初音ミク」のあれだけフラットで機械的な声色は、人間には真似できない。無機質なテクノ、クラブ・ハウス、トランスといったジャンルでミクの右に出るボーカロイドはいないだろう。そういう点で「ボーカロイドにしか歌えない曲」を歌わせるのに、ミクは最適と言えるかもしれない。
 何をもって「ボーカロイドらしさ」とするかという視点はわきに置いておくとして、歌声シンセサイザーという技術的観点からは、ミクはいつまでも「不動のセンター」であるべきではない。それが数々の「ミク推し」のプロモーションによって成り立っているとするなら、それは歌声シンセサイザーの進化の妨げとなる。
 さらに「初音ミク」販売元であるクリプトン・フューチャー・メディアの社長である伊藤氏が、「正しいボーカロイド文化を伝える」という名目で語っているのだとすれば、それはビジネス上の目的、すなわち「ミクを売りたい」「ミクの商用向け版権で稼ぎたい」という、あこぎな商売人の態度にしか見えない。
 …と言う人も出てくるだろう。

 しかし、技術面で目と耳が肥えた雑誌記者たちですら「ミク推し」から離れていないことを、改めて考えて欲しい。
 彼らはいつミクから離れてもかまわないのだ。実際、ニコファーレのARに登場したのはミクではなくGUMIであったし、ドキ生系バンドのように、すでにボーカロイドからも離れて活動している作家もいる。最先端のシーンでは、すでに「初音ミク」はひとつの選択肢でしかない。
 にもかかわらず、なぜ「初音ミク」にこだわるのか――それは「わかりやすさ」と「日本人一般におけるボーカロイドの知識の低さ」である。

 マスメディアを含めた記者たちやSEGAが相手にするのは、ボーカロイド曲を聞き続けてきたマニアや数々のボーカロイドを使ってきたアーティストだけではない。広く一般を相手に、その魅力を伝えなければならない。この「広く一般」のボーカロイドに対する知識が、すさまじく乏しい。
 アメリカや欧州であれだけ宣伝され、世界中の人に親しまれている、というイメージとは裏腹に、一般の日本人におけるボーカロイドの知識はほぼないと言っていい。「歌声合成ソフト」というものがどんなもので、何に使うもので、どうすごいのかわからない。言葉だけで説明されても、操作している様子を見せられてもピンとこない。そんな人たちが大半なのだ。
 そういう人たちに説明する具体例として「初音ミク」はとてもわかりやすい題材なのだ。

 使い勝手のいいボーカルシンセサイザーの登場によって「歌モノ」DTMが盛り上がり、それが「ニコニコ動画」の仕組みを利用してCGM文化のひとつとして花開く。そんな2007年~2008年のボーカロイド・シーンの中心にいたのは、当時最新鋭の「初音ミク」だった。ボーカロイドというものを何一つ知らない人に説明するには、盛り上がりの端緒となった「初音ミク」で語るのが最もわかりやすい。

 「大名とは何ですか?」と問われた時、大半の人はまず織田信長で語ろうとするだろう。なぜなら、最初に最もわかりやすい活躍をした大名で、何も知らない人にも直感的にわかってもらえるからだ。豊臣秀吉や徳川家康から説明しても、織田信長に触れないわけにはいかないだろう。
 大名の始祖である畠山氏や細川氏で大名を語るのは日本史の先生で、後発だったがゆえに天下が取れなかったと言われる伊達政宗や、場所が悪すぎて能力を発揮できなかったと言われる尼子氏で大名を語るのは戦国時代ファンだ。どちらもつまらないか内容が濃すぎて、知識のない人にはついていけない。

 同じように「初音ミク」は最もわかりやすい活躍をしたボーカロイドで、一般の人には一番説明しやすい。結果、ボーカロイドと言えばまず「初音ミク」ということになり、「初音ミク」ばかりがフィーチャーされるようになってしまっているわけだ。
 もちろん伊藤社長は企業の経営者であるから、これを利用して「ミク」の版権で一儲けしようと言う思惑はあるだろう。だからといって、他のボーカロイドを題材に、ボーカロイド界隈をわかりやすく説明することはできるだろうか。
 GUMIを題材にしようとしても、ニコニコ動画に大量に存在する「初音ミク」に触れざるを得ず、結果として2007年の「奇跡の3ヶ月」を話すことになり、それでは鏡音リン・レンて何なのか、巡音ルカって何なのか、と質問が増え続ける一方。だったら最初から「初音ミク」で話をして、どんなことが起こったかをわかってもらった後、今はこんな歌声のソフトもあって、こんな曲もあって、と順を追って説明していったほうがわかりやすい。
 私もボーカロイドを紹介する際には、まず最初にミクの曲を聴かせながらボーカロイドシーンを説明し、それから他のボーカロイドの曲を聴かせるようにしている。以前別のボーカロイドも含めて一気に説明しようとして、結局何がなんだかわからないけどすごいんだね、とまるで伝わっていなかった、という教訓にも基づいている。
 この説明のしかたでミク廃が養成されるかというと、むしろミクはあまり人気がなく、力強いリン・レンや、声に深みのあるルカが好まれる。実際アメリカでも、リン・レンやルカのほうが人気が高い。

 とはいえ「初音ミク」を題材として紹介をせざるを得ない状態が数年続いている。今年になってようやくマスメディアがその玄関口である「初音ミク」にたどり着いた状態で、一般人にはまだまだ浸透していない。これが続くとなると、いつまでたっても「初音ミク」から先に進めず、能力のある新しいボーカロイドをつぶしてしまいかねない。
 しかしながら、他のボーカロイドの話をするには、あまりにも一般の人の知識が足りない。あれだけ大々的に雪まつりで宣伝されていても、空港を初音ミクだらけにしても、会場の人々の間では「7日に倒壊した雪像の」という枕詞がついて回っていた。ボーカロイドなんていうものがあることすら知らなかった、それが一般人の知識レベルなのだ。
 こういう人たちに話をするには、まだ「初音ミク」を使う必要がある。他のボーカロイドを紹介したり、CGMのなんたるかを説明したりするには、まだ早い。

 今年からのマスメディアによる特集で、せめてボーカロイドというものの存在だけでも浸透してくれれば、「初音ミク」だけをフィーチャーする必要はなくなってくるだろう、というか一刻も早くそういう状態になって欲しい。ミク廃の一人としても、「新人つぶしに定評のあるミクさん」にはなってもらいたくはない。

 雪まつりで出てくるのがなぜ「雪ミク」なのかについては「キャラクタービジネス」という側面もあるので、別項で改めて考察したいが、ここで1つだけ述べておきたいことがある。
 「雪ミク」が「ミク」なのも、やはりわかりやすさを追求した結果なのである。ボーカロイドを知らない人たちへの紹介として最もわかりやすい玄関口である「初音ミク」を利用するのが、一般に向けて出すには受け入れられやすい。「キャラクタービジネス」だけを目的としたものではないのである。
スポンサーサイト

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://bukko3.blog33.fc2.com/tb.php/884-6511b3c4

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。