Capter 1-2. ボーカロイドってほんとに人気あるの? 

 ボーカロイドになじみのない皆さんには、一体何がすごいのか、本当に人気があるものなのか、ただのマニアのおもちゃじゃないのか、と考える方は多いと思います。
 この節では、ボーカロイドの人気と、その人気を生み出す原動力について、ご紹介したいと思います。

<ポイント>
・ボーカロイドは一部のマニアだけでなく、女子中高生にも定着してきている
・膨大な数の幅広いジャンルの曲が発表され、オジサンから若い女の子までひきつけられる曲が揃っている
・これを支えているのが膨大な数のアマチュア作家(プロデューサー・絵師)



1)10代女子に人気のボーカロイド

 2007年の登場当初は、まだまだマニアの趣味という域を出ていなかったように思います。TBSが「アッコにおまかせ」で放送したような、「薄気味悪いヲタクのおもちゃ」という位置づけはあまりに偏見に満ちていましたが、ニコニコ動画ユーザーや、デスクトップミュージック(DTM)という、パソコンで作る音楽の愛好者の中で盛り上がっていて、その技術のすごさも音楽性のよさも、一般の人にはほとんど知られていませんでした。
 しかし今では、音楽に敏感な女子中高生の間で、一般的な知識として浸透しているようです。
 ボーカロイドつながりで知り合った女子高校生の話では、クラスでも好き嫌いこそあれ、ボーカロイドを知らない人はあまりいないそうです。とある有名ボーカロイド曲作家――こうした作曲家はボーカロイドキャラをプロデュースする「プロデューサー(P)」と呼ばれています――がファンの女子中学生から、学校でもボーカロイドは当たり前のように話題に登る、と聞いて大変驚いた、とtwitterで語っています。給食の時間にボカロ曲が流される学校もあるようです。
 一方で男子中高生にはそれほど広まってもおらず、また30代以降の皆さんにはほとんど知られていないか、アニメの同類のように見られてしまっている部分があり、あまり普及していません。
 ですが、20代前半に多くの有名「プロデューサー」がおり、その世代には音楽のジャンルの一つとして普及しているため、そのうち一般的な存在になっていくと考えられます。


2)万単位の曲とカバーするジャンルの幅広さ

 ニコニコ動画には、ボーカロイドを使用した膨大な数の曲が、幅広いジャンルで投稿されています。
 投稿されたジャンルを示す「タグ」という機能で検索すると、「VOCALOID」と登録されたものだけでも11万6138件(11/22 14:00現在)。ランキング動画やアレンジPVなども含まれるため、全てが全てボーカロイド曲ではありませんが、特にここ1~2年は毎年1万に届く勢いで増えているのではないかと思います。
 また、ボーカロイドは声さえうまく調整すればどんなジャンルの曲でも歌いこなすことができるので、ほぼ全ての声を使うジャンルの音楽をカバーしています。そのため、若干機械的な部分の残る声に違和感さえ覚えなければ、誰もが何かしら、琴線に触れる曲を探し出すことができます。
 これが、オッサンと女子中高生という、全く違った音楽的趣向を持った人々を同時に引き寄せる、というボーカロイドの特殊性を生んでいます。


3)無数の「プロデューサー」とイラストレーター・動画作家(絵師)の存在


 この膨大な数の曲とジャンルの多様性を支えているのが、こちらも1万人レベルで存在するといわれる作家、「プロデューサー(P)」たちの存在です。コンスタントに曲を発表しているPはごく一部ですが、即売会に自主制作CDを出品するようなPだけでも数百人はいますし、新たにDTMを始める人々も現れています。こうしたPたちの着想とセンスにより、ボーカロイド曲の量と鮮度、多様性が保たれています。
 彼らの中には、玄人はだしの名曲を生み出す、生まれながらの稀有なセンスを持ったPも存在します。ニコニコ動画で絶大な人気を博し、メジャーの音楽業界に引き抜かれ、活躍する人もいます。
 「メルト」や「ワールドイズマイン」等、定番と呼ばれる曲を数多く作ったSupercellのryoさんは、自主制作したアルバムをソニーよりメジャー版として再販、10万枚を売り上げるヒットを記録しました。レーベル「EXIT TUNES」は有名Pの曲でコンピレーションアルバムを発表、「VOCALO GENESIS」でオリコンウィークリーランキング1位を獲得しました。
 ニコニコ動画は動画サイトであるため、音楽の背景となる絵や動画が必要です。Pの作品に絵やプロモーションビデオ(PV)を作成し彩りを添えているのも、やはりアマチュアのイラストレーターや動画作家、「絵師」と呼ばれる人々です。こちらも人気の差はあれども無数に存在します。人気のある楽曲にはいくつものPVが作成され、ニコニコ動画の視聴者の目を楽しませています。
 ボーカロイドの人気は、こうした「一般の人々」によって支えられているのです。
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